本は原作として割り切るしかない

本は単体で大きく稼ぐ商品というより、信頼や世界観を積み上げて別の媒体へ展開するための原作に近い。だから数を出しながら試すしかないが、自分の色を残したまま市場に合わせる難しさが一番きつい。

本のリリースの重さ

本を出してみて、リリース作業が思ったより面倒だと感じた。音楽配信ならディストリビューター経由で比較的流せる感覚があるが、本はまだアナログな手触りが強い。KDPでも審査に時間がかかり、設定項目も多く、ペーパーバックは印刷代だけでかなり重い。売価を大きく上げにくい商品でこのコスト感だと、単体のビジネスとしてはかなり厳しい。

読まれない前提の市場

本はそもそも読まれるまでのハードルが高い。読む人の方が少なくなっているし、買う前に信頼も必要になる。お金を払って、さらに時間を使って読んでもらう必要がある時点で、音楽より入口が狭い。ファン獲得やポッドキャスト的な接点としては意味があるが、本だけで収益を成立させる発想には無理があると思う。

原作から別媒体へ伸ばす道

本を作る意味があるとしたら、それを映像化したり、音楽化したり、別の媒体にスケールさせる軸にできる場合だと思う。音楽はSNSなどで使われると権利収益が発生しやすく、市場も大きい。自分名義の音楽ではほとんど稼げなかったが、使われることに特化した音楽では大きく稼げた。この差を見ると、作品単体を売るより、使われる構造を作る方が強い。

数を出すしかない本の戦い方

本はアルゴリズムで外した瞬間に露出が落ちるような媒体ではない。だから理論上は、数を出して当たる確率を上げる方が筋がいい。初出版で実感値はまだないが、まずは二十冊ぐらい出さないと判断できないと思う。読まれる本に寄せる必要はあるが、そこまで寄せたものを作品と呼べるのかという疑問も残る。

自分の色と市場のズレ

いちばん難しいのは、自分のベクトルと世間のベクトルを合わせることだ。誰かのために作るなら、その人を満足させればいいのでまだ簡単だが、自分を売り込むのはかなり難しい。自分の色を消した瞬間に当たりやすくなる感覚がある一方で、それでは自分の価値は上がらない。自分のエゴをどこまで外し、どこを残すのかが勝負になっている。

割り切りながら試す

本をやるなら、本だけで勝とうとしない割り切りが必要だと思う。それでも自分の色を完全に消したくはない。原作としての本、使われる音楽、世間に合わせる力と自分を残す力の間で、しばらく数を出して試すしかない。