沖縄の台風には普通に勝てない

沖縄の台風は、これまで自分が知っていた台風とは別物だった。強い雨や強い風という言葉で処理できる範囲を超えていて、外を歩くこと自体が成立しなくなる。商業施設が閉まり、人が消え、車も減る理由は、実際に外へ出た瞬間に分かった。自分の思考力やフィジカルでどうにかする対象ではなく、まず退避して従うしかない力だった。

台風を少し軽く見ていた

沖縄にいて、台風が来ていることは分かっていた。ただ、これまで自分が経験してきた台風は、雨が強い、風が強い、外が少し荒れているくらいの感覚だった。だからタクシーが普通に来た時点で、いつも通り商業施設のカフェへ行けば仕事できると思っていた。ところが着いてみると、スタバどころか商業施設全体が臨時休業していた。最初は正直、大げさだと思った。

街が先に危険を判断していた

歩いている人も少なく、車も少なかった。近くのジョイフルに行こうとしても、周辺の店や施設もほとんど閉まっていた。自分はまだ普通の日常の延長で考えていたが、街の方はすでに危険を判断していたのだと思う。人がいない、店が開いていない、行き先がないという状態は、あとから見ればかなり正しい警告だった。

横から来る雨と風に体が浮いた

タクシーを降りて歩き始めた瞬間、雨と風が一気に強くなった。最初は大丈夫だろうと思ったが、どんどん激しくなって、雨は縦ではなく横から来ていた。風も音を立てていて、ただ不快というより、身体ごと持っていかれそうな圧があった。実際に一瞬、体が浮くような感覚があって、そこで本能的に危ないと分かった。

退避する以外の選択肢がなくなった

久しぶりに走って、建物の陰に身を潜めた。少し待てば収まると思ったが、風も雨もまったく弱くならず、むしろ強くなっていった。外を歩いて目的地へ行くという普通の行動が、そこで完全に成立しなくなった。仕事をする場所を探すとか、少し我慢して移動するとか、そういう判断の前に、まず自分の身体を守るしかなかった。

自然には勝てないと分かった

結局、タクシーを呼んで帰ってきた。タクシーが動いていたから戻れたが、外にい続ける選択肢はなかった。沖縄の台風は、自分の知っている「風が強い日」とはレベルが違う。思考力があっても、体力があっても、横殴りの雨風に身体を浮かされそうになれば何もできない。自然の力の前では、勝とうとするより、早く危険を認めて退く方が正しい。

勝てないものを知る

今回、沖縄の台風を肌で受けて、自然に対する認識が少し変わった。普段はだいたいのことを考え方や体力でどうにかできると思っているが、どうにもならない力は普通にある。商業施設が閉まることも、人が外に出ないことも、実際には過剰反応ではなかった。勝てないものを勝てないと分かることも、生きる上ではかなり重要だと思う。